このアトモスは、非常に特殊な置き時計です。驚くべきことに室温の変化で動き続けることができ、ゼンマイを巻いたり電池を交換したりする必要がないのです。永久時計、空気時計と呼ばれています。
背中の大きなタンク内の特殊なサーモスタットが伸縮することで、 チェーンで繋がったゼンマイを巻き上げます。わずか1度の温度変化で2日間動けるそうです。この仕組みは、1928年にスイスのニューシャテルのジャン・レオン・ルターによって考案され、 1938年にジャガー・ルクルト社が開発し発売しました。 今から60年以上も前のことです。
その動きは非常にゆっくりです。 文字盤の下の円柱の錘が蚊が止まりそうなスピードで左右に回転しています。 これがアトモスのテンプで、1分間に1回振動するため、この間に針が1分進みます。当然、秒針はありません。ゼンマイ式の腕時計が1秒間に3、4回振動するのに比べると、非常にのんびりしています。
ジャガールクルトというと、角型時計レベルソやアラーム時計メモボックス、品質試験のマスターコントロール1000時間で有名です。しかし、このような特殊な時計を作っていることはあまり知られていません。
また、創業者のエドモンド・ジャガーは1900年台初頭の「サントス」や「タンク」といったカルティエの数々の有名モデルの開発に携っていました。
今でも時計のすべての部品を自社開発、生産する数少ないマニュファクチュールとして、伝統的なスイスの時計産業を支えています。
参考までに、アトモスの取り扱いを簡単に説明します。