サイズは高さ17cm、幅15.6cm、奥行き7cm |
輪列やぜんまいが見える魅力的な顔 |
名古屋に独創的な時計を製作する時計師がいます。
ナルセワールスという時計工房の成瀬拓郎氏は、ゼンマイ式の機械式時計にこだわり、独自にデザインからパーツ製作、時計組み立てまでを行い、芸術性の高い作品を世に送り出しています。
この時計は、成瀬氏の初期の作品「TN08」です。ステンレス歯車とブリッジの曲線がむきだしというナルセワールス独特なデザインと、秒針のインダイヤルが9時の位置にあるのが特徴的。アラビア数字のベゼルがカジュアルな雰囲気にしています。
手巻き式の機械式ムーブメントを使用。ゼンマイの巻上げには専用のキーを使うところが楽しさを与えてくれます。
駆動時間は約26時間。振動数は2振動で、高い金属音の混じった小気味良いカチカチ・・・という和音を奏でます。時計の進みはヒゲゼンマイの押さえをレバーで「S(slow)」か「F(fast)」の方向にレバーで調整できます。
歯車輪列は、一番車からガンギ車、テンプにいたるまで、典型的なスイスムーブメントと同様のレイアウトです。歯車ひとつひとつはきれいに面取りされていて、とても丁寧な作りです。歯車は柔らかい真鍮ではなくカナと同じステンレスなので、噛み合わせの摩擦が大きいはずですが、その分大きなトルクを発生させるゼンマイを収めた香箱がボディーからはみ出しています。ちなみにゼンマイもステンレス製。
このようなオリジナリティーと機械式のこだわりを持つ時計は、日本はもとより世界にも類を見ないでしょう。スイスのバーゼルフェアに姿を現す日が待ち遠しいです。