観光客でにぎわうサン・マルコ広場の時計塔 |
美しいダイヤル |
重厚なファサード |
イタリア、ベニスのサンマルコ広場に立つ時計塔です。
ドゥカーレ宮殿とサン・マルコ寺院を見て左手、旧行政館の並び、リアルト橋へと続くメルチェリア通りのアーチの上に建っています。
屋上のブロンズ像が正午に鐘を鳴らすことから、日本では「ムーア人の時計塔」として有名な観光スポットです。
建造されたから500年以上もベネチアを見守ってきた時計です。
典型的な中世の天文時計です。
青く美しい文字盤はラピスラズリです。針は24時間計のみで、大理石のローマンインデックスを指し示します。
太陽を模った金の24時間針 |
周囲の浮き彫りの黄道 |
まわりの金の浮き彫りの十二宮(黄道)から航海に出る時期や期間を知り、ムーンフェイズ(月齢)から潮の干満を知ることができました。海運国家ヴェネチアにとって、とても重要だったのでしょう。
上部にはヴェネチアのシンボル、翼を持つライオン像が飾られています。屋上にはムーア人のオートマタ(自動人形)が2体あって、正午になると大きな鐘を打ち鳴らします。
ムーア人のブロンズ像 |
翼のあるライオン |
1493年、ドージェ(元首)アゴスティーノ・バルバリーゴの時代、元老院によって時計塔の建設が決定されました。建設地がサン・マルコ広場のメルチェリア通り口に決まったのは、それから2年後のことでした。さらに翌年の6月10日になって、ようやく建設予定地の建物の取り壊しが始まったと記録されています。
時計塔は1499年2月1日に完成し、機械を製作したジャンパオロ・ラニエリと息子のジャンカルロは、管理人として塔に移住したそうです。住み込みで時計の面倒をみるのが当時の慣習だったのです。
1858年には、市の公式タイムキーパーに制定され、ヴェネチア中のすべての時計はこの時計塔の時刻に合わせていたのです。
500年もの長い間、修理が繰り返され、今の同じように時を刻み続けています。最近では、スイスのマニュファクチュール、ピアジェによって機械が修理されました。99年に修理が終わりましたが、塔への設置がすんだのは2006年5月のことでした。