時計の専門工具は、普段は見慣れない特殊なものばかりです。工具の世界では1791年創立のスイスのベルジョン(BERGEON)が最も有名で、ヨーロッパのみならず日本においても絶対の信頼を得ています。
ピンセット | ドライバー | 機械台 |
キズミ | 指サック | 部品トレー |
ケースオープナー | バネ棒はずし | 針抜き、針押さえ |
四つ割り | オイル、オイラー | ブロア |
クリーナー、ベンジン |
歩度測定機 | 再メッキセット | 超音波洗浄機 |
ノギス |
時計工具 |
「無印良品」の化粧ポーチは工具の仕分けに便利 |
タイムグラファー(歩度測定器)「マイクロセット」 |
スイスのデュモン(DUMONT)やベルジョンのもので防磁、防錆のピンセットです。写真は、F、#1、#2、#5の4本です。通常の部品には#1や#2を使いますが、非常に細かい部品には極細の#5を使います。ピンセットにはたくさんの種類があり、電池交換用のプラスチックや竹製のものもあります。
上からF、#5、#2、#1 |
正しいつまみ方 |
間違ったつまみ方 |
ピンセットとならんで最も基本の工具。ベルジョンの時計専用ドライバー9本(No.5970)です。サイズ幅は、オレンジ色の0.5mmから青色の2.5mmまで。 人差し指でドライバーの頭を押さえてネジと垂直に固定し、親指と中指で回転させます。
ベルジョンのドライバー一式 |
ドライバーの正しい持ち方 |
色鉛筆のケースとウレタンで作った手作りケース |
ドライバーがネジの溝に合わない場合、ピンセットの噛み合わせが良くない場合には、先端を砥石やヤスリで削って調整します。
ドライバーの先端はネジの溝の三点に正確に当たること |
サイズの合わないドライバーを使用したために、溝の周囲が盛り上がったネジ。時計職人はこれを「笑った」状態という。 |
先の開いたピンセット |
正しく重ならないピンセット |
ベルジョンの機械台 No.4040 |
ムーブメントをセットしたところ |
時計のムーブメントを固定する作業台です。ムーブメントホルダーとも言います。このベルジョンのNo.4040は懐中時計から腕時計のサイズまで使えます。
2.5倍、4倍、10倍 |
ルーペのことです。肉眼では困難な細かい作業をする時に使います。ボシュロム(Bausch&Lomb)やベルジョン等のキズミがよく使われます。
下のまぶたに押し当て、目を閉じるように上まぶたで挟み込みます。写真の円形のワイヤーのヘッドバンドがあると、首から下げたり、額に上げておいたりと、便利です。
袋入り指サック |
指サックは、手の油や指紋で時計のパーツを汚さないための必需品です。天然ゴム製の指サックは厚さ0.1mmの優良品で、しっかり指にフィットします。 時計学校で使用されているものと同等品。
とても臭いです。
部品トレー(右)とムーブメントカバー(左) |
パーツをトレーに整理 |
作業中の部品を仕分けしておくためのトレーです。
時計の裏蓋を開ける道具です。明工舎(MKS)のもので、ねじ込み式の裏蓋用、はめこみ式の裏蓋用の2種類があります。はめ込み式用を「こじあけ」といいます。
ねじ込み式の裏蓋用 |
ベルジョン製のオープナー |
はめ込み式の裏蓋用こじあけ |
時計のベルトの取り付け、取り外しのために使います。
ベルジョンのバネ棒外しNo.6111 |
細い方はリバーシブルになっている |
大きいバネ棒用 |
針抜き(上)と針押さえ(下) |
時計の針を取り外したり取り付けるために使います。
メイコーの四つ割り |
先端 |
ピンバイスともいいます。リューズを取り付ける時に、巻き芯をしっかりと掴むために使います。
ベルジョンのオイラー4本セットとオイルカップ |
メービスのオイル |
潤滑油をさすための先端が細い工具をオイラーといいます。
時計用の油はスイスのメービス社(MOEBIUS)のものを使います。アンクルの爪石用の9415、輪列に注油する9010SYNT-A(青)と粘度の高い9020SYNT-V(赤)、香箱用のD-5。
ベルジョンのブロアとメイコーの刷毛付きブロア |
ほこり、塵を吹き飛ばすために使うチリ吹きです。
セルベットは、指紋や油汚れの拭き取り、洗浄拭き取り、金属面を磨くため等に使う拭き布です。
ロディコは、錬り消しゴムのようなもので、押し付けて、パーツの油膜や指紋やブレスの隙間の汚れを取り除きます。
ピスウッドは、ピンセットを刺して先端をキレイにします。
セルベット(白)、(ピンク) | ロディコ。串の先端に付けて使ったりもします | Pith wood。 |
時計用スイスアーミーナイフはこちらを参照。