おまけの漆のはなし
漆は非常にすばらしい日本の伝統工芸です。漆に惹かれてオリジナル時計の文字盤にも黒漆を塗りました。ここではその漆について簡単に紹介します。
漆とは
漆は塗料です。それも非常に優れた日本古来の天然の塗料なのです。次のような特徴があります。
- 深みのある色合い
- 普通の塗料は次第に劣化していくものですが、漆の場合年月が経つほど色艶で出てきます。
- 強靭な塗膜
- 硬化すると非常に丈夫な皮膜になり耐酸性、耐アルカリ性、耐水性もあります。
- 耐久性
- 紫外線に当たらなければ非常に長持ちします。古い寺院、神社の宝物にも漆の品が残されています。
- 抗菌性
- 漆の塗膜には抗菌性があり重箱、弁当箱にも最適です。
- 接着性
- 接着剤としても優れています。金箔や螺鈿等の工芸にも使われます。
- 天然
- 漆は木の樹液なので有害物質を含みません。
漆は漆の木から採れる樹液で、採取して精製したものを生漆(きうるし)といい、生漆からベースとなる飴色の透漆(すきうるし)ができます。これに鉄分を加えて酸化作用により美しい黒漆(ろうるし)ができます。顔料を練り込むことにより、朱色や黄色等の鮮やかな漆も作られます。
漆の乾かし方
漆の乾燥とは、蒸し暑い環境、25度前後の温度と80%の湿度が必要です。簡単に言えば、カビの生えやすい状態が適しています。普通の水分を蒸発させる乾かし方とは違うところがおもいしろいところだと思います。
ゴム質に含まれるラッカーゼという酵素の働きで、酸化重合をおこし硬化するものです。
乾燥室(かんそうむろ)
乾燥させるための室は簡単に作ることができます。ダンボール箱の中にビニール袋を敷いて、たっぷり濡らした新聞紙を上に敷きます。その上に乾燥させるものを置くためのすのこを割り箸で作れば出来上がりです。
漆かぶれ
漆かぶれとは漆と皮膚のたんぱく質が反応して起こるアレルギーです。皮膚につくと、体質にもよりますが、まずかぶれると思って間違いありません。漆対策は以下です。
- 手袋を必ずする
- 漆が皮膚につかないよう薄手の手袋をします。薬屋に売っている水仕事用のビニール手袋、ゴム手袋でもよいですが、薄いラテックスゴムの手袋が作業しやすいです。
- 作業中に他のものに触れない
- 漆で汚れた手袋で水道の蛇口やドアノブを触ると、後々、その漆に触れてかぶれる可能性があります。
- ついたらベンジンですぐ洗う
- 万が一、皮膚についた場合は、ベンジンで拭き取ります。
- かぶれたらかかない
- かぶれるとかゆみがひどくなりますが、かきむしると範囲が広がります。ほうっておけば1、2週間で直ります。そのうち免疫もついてきます。
漆塗りに必要な道具達
|
- 生漆(きうるし)
- 黒漆
- テレピン(漆の薄め液)
- 漆刷毛
- 漆の溶き皿(陶器)
- 吉野紙(漆の拭き取り)
- 耐水ペーパー(#1000)
- ベンジン(漆の洗浄)
|