端正なスタイル/直径33.5mm/厚さ12mm |
独特な変わり文字盤 |
Cal.60.3、18石、28mm、手巻き |
珍しい旧東ドイツGUBの「Q1」印の三針腕時計。60年代製です。
第二次大戦後、旧東ドイツの時計メーカーは、国営の時計工場、グラスヒュッテ時計産業公社(GUB:VEB Glasshutter Uhrenbetrieb)に統廃合されました。当時、工場ではノーマルなラインと高品質な仕上げを施した高級ラインがあり、後者には高品質マーク「Q1」が印されていました。
細かいランダム模様が施された変わり文字盤には、アップライトのバーインデックスとアラビア数字のコンビネーションが、中三針と絶妙なバランスをかもし出しています。
「STOSSGESICHERT」は耐震設計を意味します。20ミクロンの金メッキケースは、防水性の高いスクリューバック。
GUBのベースキャリバー60に、出車を設けてセンター秒針にし、高級仕上げを施したキャリバー60.3。
サンバースト仕上げ |
金メッキのチラネジ付きテンプに耐震装置を備え、ガンギ車にも受け石があります。角穴車と丸穴車には、グラスヒュッテの伝統的装飾であるサンバースト仕上げが施されています。
ムーブメント全体は、衝撃を軽減するリングで固定されており、極めて実用的な仕上がりになっていることがわかります。
20世紀ドイツの代表的キャリバーのひとつです。
グラスヒュッテは古くからドイツの時計産業の中心地として栄えていました。
第二次世界大戦が終わりドイツが東西に分裂した後、ランゲ・アンド・ゾーネをはじめとする東側のグラスヒュッテの時計工場は東ドイツ政府に接収されました。時計工場は統合されグラスヒュッテ時計産業公社(GUB:VEB Glasshutter Uhrenbetrieb)として時計の製造を再開します。
この頃のグラスヒュッテの腕時計は、美しい装飾や高級な仕上げはなく、共産社会の中でシンプルな時計のみを製造していたようです。
1990年にドイツ統一後、時計工場は民営化され、GUB(Glasshutter Uhrenbetrieb GmbH)として新たなスタートをきります。
この時、ランゲ・アンド・ゾーネ(A Lange and Sohne)の商標をスイスのIWCが取得、故ギュンター・ブルムライン指揮のもと複雑ムーブメントの開発に着手し、94年ドイツの超高級時計ブランドとして復活します。
一方、GUBからは、ミューレ・グラスヒュッテ、ユニオン・グラスヒュッテといったブランドが独立した後、2000年にスイス最大の時計グループ、スウォッチ・グループ傘下になり、高級ブランド、グラスヒュッテ・オリジナルとして生まれ変わりました。
こうして、世界大戦、冷戦、ドイツ統一を経て、古のグラスヒュッテの時計産業は復活し、スイス時計産業と融合しながら優れた時計高級腕時計を世に送り出しています。