品格あるたたずまい |
上品なラウンドケース、特徴的なフォーンラグ |
Cal.89/手巻き/17石/毎時18,000振動 |
初期のモデルに見られる飛び数字のインデックス |
40年代製、IWCの手巻き式センターセコンド。
肉厚なラウンドケースは18金ローズゴールド無垢で、アンティークにもかかわらず37mmと十分な大きさです。装飾的なラグとケースバックにむかってシェイプしたデザインは色あせていません。ドーフィンハンドとシンプルなダイヤルは視認性が高く、落ち着いた雰囲気。
筆記体の「International Watch Co.」は50年代以前のもので、オールド・インターと呼ばれています。この時代の時計はシンプルでした。
IWC初の本格的な腕時計用センターセコンドにして、最高傑作との評価が高いキャリバー89。(初期には大型cal.52があり。)
ペラトン式自動巻きを考案したことで有名なアルバート・ペラトンが1946年に設計したものです。
美しいブリッジ |
高級ブランドが薄いムーブメントで技術力を競っていた当時、薄さを嫌い頑丈さにこだわって設計したムーブメントです。ロレックスのモノ作りに通じるとことがあります。
ブレゲ巻上げヒゲの位置を調節できるように、キドニー(腎臓)型のプレートで挟みこんで固定されているのは高級機の証し。
穴石は金のシャトンで固定され、ブリッジにはコート・ド・ジュネーブ模様が施されています。この仕上げのクオリティはアンティークならでは。
手巻き式ムーブメントの手本、古典的名機との誉れ高い一品。
スイスのドイツ国境の町、シャフハウゼンに創業したインターナショナル・ウォッチ・カンパニーは、スイス時計ブランドの代表格ながら、ドイツの質実剛健な時計作りで知られています。1868年、アメリカ人のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが、近代的な時計生産をスイスで展開したのがはじまり。長い緩急針を備えたジョーンズキャリバーを開発しましたが、経営はわずか7年で破綻してしまいました。
10年後、転々としていた経営権が、機械製造業を営むヨハネス・ラウシェンバッハ・フォーゲルに移ってからIWCは息を吹き返します。アメリカ式の大量生産よりもクオリティやクラフツマンシップを追求し、コンプリケーションの開発や時計師の育成を行いました。
その後の成功は、Cal.89やペラトン式自動巻き、軍用時計の「マーク」シリーズ、耐磁時計「インジュニア」などの傑作が物語っています。