珍しい金張りケースのKS、直径36mm、厚さ10mm |
ケースサイドと外部緩急調整ネジ |
バランスの良いダイヤルデザイン |
1971年製のハイグレードなキングセイコー・クロノメーターです。
ケースは防水性の高いワンピース構造、珍しいキャップゴールド(金張り)です。金メッキに比べて数十倍のコーティング厚となります。さらに特別に調整されたクロノメーター認定も付いています。
プラスティックではなくガラス風防を固定するベゼルも肉厚で、多面で構成されたボリュームのある一体型ラグは当時のセイコーらしいスタイル。その間に見えるネジは、外から精度調整できる独自の機構です。
外から精度を調整できるよう特殊な外部微動緩急装置が備わっています。
5時〜6時位置のケースサイドのネジは、ムーブメントの緩急針と連動しており、ストラップを取り外せば、ドライバーで容易に精度を調整することができるのです。裏蓋が開かないワンピースケースにとっては非常に便利です。
当時、セイコーやシチズンの一部のモデルにのみ搭載された、世界的にも珍しいメカニズムです。
日本クロノメーター検定協会(JCII)で認定された公式クロノメーターです。文字盤と裏側のメダルにCHRONOMETERの銘を見ることができます。
KSのメダル |
JCIIは1968年12月の発足し、第三者機関として翌年からセイコーやシチズンの腕時計の精度検定を開始しました。認定には最高級と普通級があり、前者がSUPERIOR CHRONOMETER、後者がこのモデルに相当する通常のCHRONOMETERです。
70年に正式に国際クロノメーター管理委員会(CICC)に参画し、名実ともに公式認定期間として活動していました。検定以外にもクロノメーター規格のISO化やクオーツ時計のクロノメーター規格の策定にも積極的に取り組んでいました。検定は76年まで行われ83年3月31日に解散しました。
諏訪精工舎が設計したキャリバー5626Aを搭載。8振動(28,800bph)、25石の自動巻きで、日付、曜日(和英)表示、手巻き機能、秒針停止機能を有する高い実用性を誇ります。
キングセイコーといえば亀戸の第二精工舎が開発し、諏訪のグランドセイコーと並び称される傑作です。外装、ムーブメントまで独自に開発し切磋琢磨してきた歴史がありますが、70年代頃にはこのムーブメントのようにグループ内で部品の共有を行い効率化が図られてきたようです。