上海手表 A581

Shanghai A-581

レトロな中国製の手巻き

カーブした文字盤、クラシカルなスタイルにユニークな漢字ロゴ、

手巻き式キャリバー/直径25.3mm/17石/毎時18,000振動

中国製オリジナル

上海の骨董屋で購入した腕時計、上海手表のA581。"ウー・パー・ヤオ"と呼びます。

中国製というとスイスブランドの偽物レプリカの中身が粗悪な中国製ムーブメントが搭載されていることが多いです。ところが、50年代の中国では真面目にオリジナルの腕時計の開発が行われていたのです。

中国上海で独自の腕時計を作りはじめたのは1958年のこと。58年から数年間、「上海手表厰」が製造したA581は、中国製腕時計のルーツといえます。

意外にもハイクオリティ

ケースはオール・ステンレス・スチール(全鋼)。裏蓋はスクリューバック、プラスティック風防のインナーリングとともに、防水性を高めています。

裏蓋

ムーブメントはオリジナルな設計ではなく、スイスのエボーシュ・メーカー、A.シールド社(AS)のキャリバー1158と同一です。この設計をもとに、外周を若干ふくらませた25,3mm(11lines)のセンター秒針のキャリバーです。

ガンギ車に受け石を設置していますが、耐震装置はなく、仕上げも機械式時計が衰退した70年代のスイス並みです。かわりに、ムーブメント全体を耐震リングで保護しています。

とはいえ、現代のチープな中国製ムーブメントとは比べるべくもなく、十分日常使いできるビンテージ・ウォッチです。

独特な趣

文字盤には独特な上海のロゴ、下部には「中国上海」が誇らしげにプリントされ、17石であることがわかります。ベゼルの金メッキのインナーリングとともに、この腕時計のユニークな雰囲気をかもしだしています。

シンプルなバーインデックスのものよりも、数字のインデックスとゴールドのインナーリングが高級だそうです。

昨今クオリティを上げてきた中国製の腕時計。今ではスイスの汎用エボーシュのみならず、トゥールビヨンも製造できるほどに、高い工作能力も有しています。黎明期のこの腕時計のように自信を持って中国オリジナル・ブランドを世に送り出してほしいものです。