直径32mmと小振り |
ツートンカラーの文字盤 |
Cal.104/手巻き/18石/毎時18,000振動 |
デニソンケース裏蓋のA.L.Dの刻印とホールマーク |
イギリスの高級宝飾ガラード(GARRARD)が販売していた60年代製の腕時計。33mmと小振りなサイズとスモールセコンド、9金無垢ケースがクラシカル。
ガラードは英国王室の王冠の管理を任されるクラウン・ジュエラーの栄誉を受けた由緒あるブランドで、2007年まで165年間にわたり、その責任を担ってきました。
製造にあたったのは、ロンドンの時計メーカー・スミスで、ハイグレード・モデル「デラックス」をベースに開発しました。ケースの製造には、当時高級ケースメーカーとして名を馳せていたデニソンが担当。デニソンもまたロンドンの専門メーカーでした。スイス製全盛の時代に作られた、珍しい英国製ウォッチです。
40年代、車用メーターの分野では、スミスとジャガーの2社が有名でした。ジャガーというのは、スイスの時計マニュファクチュール、ジャガー・ルクルトの関連会社で、パリやロンドンに計器類の製造販売拠点を持っていました。このジャガーと互いにパテント使用許可を含む事業提携していた時期に、スミスは腕時計用ムーブメントの開発を行いました。
テンプ周辺 |
キャリバー0104。香箱が大きなブリッジで覆われ、金メッキが美しい独特なムーブメントです。
通常のスミスが15石のところ、ガンギ車の上下に受け石、二番車にも穴石が追加されていて、18石と耐久性が高い仕様です。
テンプ周りに目を移すと、ヒゲゼンマイはブレゲ巻上げヒゲに交換され、耐震装置(おそらくキフショック)が備わっています。
耐久性と精度を考慮された高品質なムーブメントでさることがわかります。
デニソン・ケースといえば、オメガの30mmキャリバーやロレックスも採用していた高品質ケースの代名詞。アメリカンウォッチの雄ウォルサムの創業者の一人、アーロン・ラフキン・デニソン(A.L.D)がロンドンに渡り創業したケースメーカーです。
9金無垢ケースは、当時多く採用された素材です。硬度が高いのは表向きで、大衆時計のケース素材としてはコストがかからず、当時イギリスでは9K以上が金製品として認められていたためでしょう。フランス等では14K以上である必要がありました。
とはいえ、ケースの周囲のエッジや、スクリューバックの密閉性を見ると、品質の高さを実感します。