組み立てを行うと、メンテナンスや耐久性がよく考えられた優れたムーブメントであることがわかります。 前半 - 分解編(disassemby)後半 - 組立編(assembly) |
香箱が発生する強力なトルク、大きなテンプが誇る高い安定性は、クロノ機構を外したベース・ムーブメントがパネライに採用されるほど定評がある7750。
3針用とクロノグラフ7750用の香箱 | 輪列を配置 |
香箱からガンギ車までと、テンプのストップレバーをセット。これらは、まとめて大きな4分の3ブリッジで固定します。
その際、歯車の軸の先端(ホゾ)のすべてを穴石に入れるのは、ひと苦労です。とても細いので、無理にブリッジを固定してしまうと曲がったり折れてしまうので、慎重に扱います。
4番車と3番車の穴石 | ガンギ車の穴石 | ブリッジの固定 |
続いて、裏返して、巻き上げ機構を組み立てます。
裏側の地板 | ツヅミ車、キチ車、板バネ | 裏押さえ |
ツヅミ、キチ、カンヌキ、オシドリ、小鉄車などを取り付けます。各パーツの接触部にはメービスのオイルD5を塗布します。
裏押さえで固定した後、組み上げが問題ないかリューズを操作してみます。
リューズ操作の確認 | テンプ |
最後に機械を裏返して、テンプを取り付ければ、ベースムーブメントの出来上がりです。
ベースムーブメントの上にクロノグラフ機構を組み上げます。機械台にムーブメントをしっかり固定します。
機械台に固定 |
クロノグラフ機構の心臓部であるカムをロックするバネから始めます。続いて肝心要のカムを取り付けます。
カムバネ | カム | スイッチ |
中間車とオペレーティングレバーを固定。ラチェットホイール、クロノグラフランナーのフリクションスプリングをそっと置きます。
この上からクロノグラフブリッジをかぶせます。
中間車、レバー | ラチェットホイール、 クロノグラフランナー・スプリング |
クロノグラフブリッジ |
ETA7750の特徴でもあるスイングピニオンを挿入します。
このピニオンが、下段のベースムーブメントの動力を上段のクロノグラフ機構に伝達するのです。
クロノグラフの輪列を元通りに配置し、クラッチ車、ピニオンを稼動させるクラッチ、大振りのリセットハンマーを並べていきます。基本的にメービスのD5を注油しています。
スイングピニオン | クロノグラフ輪列 |
上から自動巻き機構のブリッジで固定します。ピニオンクラッチ・スプリングを挿入、ハンマースプリングを取り付ければ表側は完了です。ハンマースプリングは根元をまず固定してから、先端部を外側に引っ張ってハンマーに押さえると楽です。
自動巻きブリッジ | クラッチスプリング | ハンマースプリング |
ETA7750は効率よく部品が配置され、組み立ても容易に設計されていますが、強いて挙げれば以下の点は要注意でした。
クロノグラフブリッジは、そのまま外側リセットレバーを挟み込まないよう、レバーを押しながら地板とブリッジの間の隙間に収まるように固定します。スイングピニオンとクラッチは外れやすいので、自動巻きブリッジを固定するまでは、何度もチェックします。また、自動巻きローターと噛み合うクラッチ車には、板バネが逆回転を止めていることがポイントです。歯車とブリッジで挟み込みやすいです。
リセットレバー | スイングピニオンとクラッチ | クラッチ車 |
ムーブメントを裏返します。
機械台に固定 |
曜日と日付の歯車をセットし、爪の向きを合わせます。この向きが正しくないと、後々カレンダーの切り替えのタイミングがずれてしまいます。
12時間積算計、レバー、クラッチともに取り付けます。プレートで固定しないと不安定なので、そっとセットします。
日付、曜日の歯車 | 12時間積算計 |
カレンダープレートで、まとめて固定します。極細の秒針や積算計を折らないように注意します。
プレートで固定 |
カレンダーディスクを置き、切り替え用の歯車やスプリング類を取り付け固定します。
日付、曜日ディスクの固定レバー | 日送り歯車 |
曜日ディスクを固定レバーにかみ合うよう、ちょっと回しながらセットすれば完成。
ETA7750の出来上がりで
準備中です。
to be continued...