最近、クオーツの腕時計の電池交換や修理は、いろいろと面倒なようです。特に古い時計や海外製は交換部品がないので直してくれないでしょう。ということで、ロシアの腕時計の修理の相談が舞い込んで来ました。こちらも直せる保障は全くないのですが。。。
【注意事項】
あくまで趣味として公開しており、決して専門的な技術レベルではございません。日常的な使用範囲を超えた行為ですので、お使いの腕時計の修理、調整は専門の時計修理業者にご依頼ください。万一ご自身で行う場合は自己責任でお願いします。
旧ソビエト時代(USSR)に製造されたクオーツ式腕時計。
文字盤の「PETERHOF(ペテルゴフ:正式名ペトロヴォレツ)」は、サンクトペテルブルク近郊の町で、帝政ロシアの宮殿がある有名な町です。
この町には、18世紀創業の時計メーカー大手、ラケッタ社(ラケタ、RAKETA、PAKETA:ロケットのロシア語)の工場があり、この腕時計もラケッタ製です。
ソビエト時代(USSR)の腕時計/径38mm/厚8.5mm/RAKETA製Cal 2356/8石/クウォーツ
電池交換しても動かない
裏側の大きなネジを4本外すと、裏カバー、本体、回転ベゼルに分解できます。オシドリやツヅミ車等を外してリューズを抜き、文字盤はムーブメントの横の小さいネジを緩めて外します。
ベゼル、裏カバー、本体 | リューズ等 | 文字盤留めのネジ |
細かい部品はトレーに整理していおきます。
クォーツの場合、悪いパーツだけ交換することはできないので、同じムーブメントにまるごと交換します。
機械のどこにも製造メーカーが記されていないので、ラケッタ(RAKETA)製だと判明するのには一苦労でしたが、わかってしまえば、海外オークション「eBay」で同じキャリバー2356を手に入れるのは容易です。
スペアの機械 |
クォーツムーブメントは精密な電子機器なので、やはり慎重に取り扱います。
ブリッジの厚み、時刻調整機構に機械式らしさがあり、歯車の軸受けには石もあるので、クォーツの割りには昔ながらの長持ちする作りです。
交換用ムーブメントを機械台に固定し、文字盤を取り付けます。
機械台に固定したムーブ | made in USSRが記された文字盤 |
続いて、組み立ての醍醐味である針付けです。
クォーツ時計は、ゼンマイで動く機械式時計と違ってトルクが非常に小さいので、針は非常に軽くペラペラです。曲げたりしないよう気を使いながら、時針、続いて12時の位置で重なるよう分針、最後にデリケートな秒針をプレスします。
文字盤とのすき間、針同士のすき間は触れないよう注意します。
最後に秒針 |
ふたたび、リューズを抜き、ケースに収めてから、時刻調整機構をもう一度組み立てなおします。
分厚いケース | 独特な形状のカンヌキ |
最後に、ベゼル、風防ガラス、本体、裏カバーの順に重ねて、裏側から4本のネジでしっかり固定して完成です。
組み立て完了 |
修理した腕時計はこんなんでした。