フリーガー・クロノグラフの製作

Making of The Flieger Chronograph

フリーガーとはドイツ語でパイロットを意味します。
ブライトリングのように、計算尺を備えケースデザインに凝ったものが有名ですが、IWCやジン、チュチマのようにドイツ系のシンプルなクロノグラフもあります。(IWCはスイスのメーカーですがドイツ語圏にあり、製品もドイツよりのスタイル)
ここでは、質実剛健でシンプルなクロノグラフを製作します。

ETA Valjoux7750の自作リンク
  ・カスタム・クロノグラフの製作
  ・ETA 7750の分解、組立

製作過程は、4月12日にテレビ東京系列のBSジャパン「オフタイム-週末の自由人-」の中で放送されました。

作業の準備

作業場を整理整頓して組み立てを始めます。

作業場

ケースは高品質なドイツ製。光の反射がないつや消しのステンレスケース。裏側はトランスパレント(シースルー)。
ムーブメントは、ETA社の自動巻きクロノグラフ、バルジュー7750。信頼性と汎用性に優れ、多くの一流ブランドが採用。ペルラージュ模様とブルースチールのネジがキレイな高級仕上げ。
文字盤は、暗闇でも見やすい夜光付きのシンプルな黒文字盤。

ステンレスケース (直径41mm、厚さ15.5mm) ETA製バルジュー7750(25石)
真ん中の文字盤は蓄光性の高いスーパールミノバがインデックスに塗布されています。

ムーブメント、ETA7750の中身に迫りたければ、「ETA7750の分解・組立」をご覧ください。

組み立て

文字盤(ダイヤル)を取り付けます。2本の足をムーブメントの穴に挿し、2箇所の爪で固定します。
針を付ける前に、リューズを一段引いて、日付の変わるポジションまでリューズを回しておきます。ここが午前0時なので、針を12時の位置に合わせて取り付けることができるからです。

針の取り付けは、クロノグラフの組み立てで最も難しい作業です。

文字盤は時計の顔なので、ロディコやブロアで見えないチリまで徹底的に取り除きます。
ケース内部もベンジンやブロアでキレイにした後、文字盤の上からかぶせます。裏返してムーブメントリングでETA7750を固定します。

ケースを閉じる前に精度調整をします。
マイクロセットで歩度を測定して、ヒゲ持ちや緩急針を微調整します。テンプを正確に振動させることで、1日の誤差をわずか10秒未満に調整することも可能です。詳細は「マイクロセット・ウォッチ・タイマーの使い方」を参照ください。

マイクロセット・ウォッチタイマー 緩急針

スクリューバック式の裏蓋をオープナーで締め上げて密閉します。

ベルトはイタリアのモレラート社のカーフです。針の色に合わせてブルーのステッチを選択。

完成

スポットライトを当てて、クロノグラフを起動した状態で記念撮影。

夜光塗料と大きなアラビア数字で視認性に優れるダイヤル。
クロノグラフはETAの自動巻きバルジュー7750。
アクセントとして計測針とストラップのステッチをブルーに。