まったく整理できていません。
世界中の時計マニアで使われているタイムグラファー(歩度測定器)。パソコンで制御可能な便利ツール。
愛用のThinkpadに接続したマイクロセット |
まずは、「機械式ムーブメントの精度調整」のメカニズムをご覧ください。
簡単な調整のサンプルは、「自作の基礎:パーツ収集〜組み立て」の調整編を以下に紹介します。
マイクロセットのウォッチタイマーは世界の時計マニア御用達ツールです。パソコンから時計の精度を測定することができます。
マイクロセット ウォッチタイマー(タイムグラファー) | プロット画面 |
画面に斜めの平行線がプロットされます。この「傾き」が進みや遅れ(秒/日)で、「平行線の間隔」がビートエラー(ミリ秒)です。文字盤を上にした平置き、リューズ(3時)を下にした姿勢、縦置き(12時下)の3姿勢の精度を測ります。
姿勢 | 日差 | 片振り(ビートエラー) |
平置き | 29.6sec/day | 4.0ms |
3時下 | 27.8sec/day | 4.0ms |
12時下 | 27.7sec/day | 5.0ms |
ヒゲ持ちや緩急針を調整しやすいように、自動巻き機構をすべて取り外します。
まずは、ビートエラーを調整します。片振りともいい、心臓部のヒゲゼンマイが左右に均等に振れていない誤差のことです。
自動巻き機構のブリッジの固定ネジ | ヒゲ持ち |
ヒゲゼンマイを固定しているヒゲ持ちという部分を、ピンセットかツマヨウジで微妙にずらし、プロットされる「平行線の間隔」が狭くなれば成功です。
最初の5ミリ秒程度 | 1〜2ミリ秒 | さらに微調整 |
縦の1目盛が2ミリ秒の縮尺でディスプレイ。一番右のプロットのように重なるぐらいまで調整すれば0.1〜0.3ミリ秒です。
緩急針は動かないので、日差を示す「傾き」は大きく変化してしまいますが、ここでは気にしません。
続いて、時間の進み、遅れ、いわゆる日差を調整します。
振動するヒゲゼンマイの外周に接触している緩急針をずらします。中心部に近づけると進み、外端にずらすと遅れます。
-600秒程度 | プラスにするために時計まわりにずらす | 傾斜がゆるやかに -40秒 |
傾斜が平らになったら、最後に下の写真の緩急針の微調整ネジを「+」プラス方向にまわし、日差が数秒進む程度におさめます。
微調整 | さらに微調整してプラスに補正 |
ふたたび、3姿勢で精度を測った結果、以下のようになりました。
姿勢 | 日差 | 片振り(ビートエラー) |
平置き | 3.2sec/day | 0.2ms |
3時下 | 2.7sec/day | 0.3ms |
12時下 | 2.8sec/day | 0.3ms |
専門的なレベルの場合、5姿勢、6姿勢、温度差、巻き上げ状況の差異まで調べますが、日常的にはこのレベルで満足です。