60年代セイコー・チャンピオン手巻き 針付け

SEIKO Champion 850

簡単な修理

アンティーク時計は繊細なので、ぶつけたりすると針が取れることがあります。ところが専門店に修理を相談すると分解清掃(オーバーホール)込みでないと受け付けてくれない場合があります。そこで、コンディションを確認した上で針を修理してみました。会社の先輩からの預かり物です。

【注意事項】
あくまで趣味として公開しており、決して専門的な技術レベルではございません。日常的な使用範囲を超えた行為ですので、お使いの腕時計の修理、調整は専門の時計修理業者にご依頼ください。万一ご自身で行う場合は自己責任でお願いします。

  

仕様

SEIKO CHAMPION (日本製)/GFケース/手巻き/Cal 851/17石/18,000振動/耐震装置(Diashock)

目次

ムーブメントの確認

針が取れるほどの衝撃を受けたので、まずは中のムーブメントをチェックします。
秒針が出車方式の場合、表から針をプレスするとパーツが歪む可能性があるので、構造も確認。

11型のムーブメント

動作もリューズ操作もまったく問題ないようなので、裏蓋を閉めます。

針の取り付け

ベルジョンのオープナーでベゼルをプラ風防ごと取り外し、時針を12時位置にします。

文字盤側

ホロテック(Horotec)のハンドプレスで針を取り付けます。

分針の取り付け 微調整

アプライドのバーインデックスや針同士が接触しないよう微妙な調整が必要です。

ラウンドした文字盤、先端を曲げた秒針がレトロな雰囲気。

時刻合わせをして12時位置で正しく時針と分針が重なること、分針を回転させても時針と秒針に触れないこと、ゼンマイを巻いて秒針がスムーズに回転することを確認します。

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完成

ブロア(チリ吹き)で、入念に風防内と文字盤の見えないゴミを飛ばし、ベゼルを被せたら完成です。

秒針がプラ風防に当たっていると、時計全体が止まってしまうので、そうなった場合は秒針の微調整が必要です。

ピタッとした極薄なシルエットが清楚で上品な腕時計です。

3姿勢で精度の確認

万が一、故障していないとも限らないので、マイクロセット・ウォッチ・タイマー(MicroSet Watch Timer)で精度を検査します。

計測した結果は以下のとおりです。24時間後もほぼ同様でした。

姿勢 フル巻上げ状態 24時間後
歩度 片振り 歩度 片振り
平置き(文字盤上) +42.4秒 10.2ms +44.0秒 10.7ms
12時下(縦位置) +31.5秒 10.8ms -44.5秒 15.2ms
3時下(リューズ下) +19.8秒 10.8ms +22.2秒 10.9ms

プラス気味に調整されていて、24時間後も高い精度を維持していることがわかります。



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