機械式時計の初歩のQ&A |
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機械式時計に関する初心者の素朴な疑問、いまさら聞けない初歩的なご質問に、明快、端的(?)にお答えいたします。(06/01/21更新)
その他のご質問、疑問などございましたら、掲示板までどうぞ。
※掲載内容は当方の経験に基づくもので保証するものではありません。
A1: 機械式時計は電池を使わず、ゼンマイを動力として動きます。細かい歯車とパーツが噛み合い、秒針はゆるやかに動きます。職人さんが手作業で組み立てるので、高価で大量生産はできません。精度は精密なクオーツ時計には比べ物になりませんが、1日に±10秒程度の十分な精度を持っています。
A2: 手巻式の時計はゼンマイをいっぱいに巻いた状態で、40時間程度動き続けられます。自動巻きの時計も同じゼンマイが使われていますが、使っている間に自動的にゼンマイが巻かれるので、外した後でも1日か2日は動き続けます。
A3: 定期的にメンテナンスをすれば、何年も使い続けることができます。一流ブランドの高級時計なら100年以上は持つように設計されているのが一般的です。世代を超えて使われているものもあります。まさに一生モノです。
A4: 機械式時計に電池交換は必要ないですが、定期的なメンテナンスが必要です。歯車や軸受けの磨耗、潤滑油切れがありますので、初回は4年後、以後3年おきが目安です。特に時計を使っていなかったとしても、今の潤滑油は4年で経年劣化していくので必ずオーバーホールは必要なのです。
オーバーホール料金は2万円から4万円が一般的。クロノグラフ等の複雑時計は4万円以上です。
A1: 店員さんは、時計をトレイの上に乗せてくれるので、必ずその上で時計を見ます。落としたり、指輪で傷つけたりしないよう注意しましょう。リューズを操作したり、クロノグラフのボタンを操作する時には店員さんの許可を得るのがマナーです。
デザインやイメージ、材質等は写真とは違うので、実際に実物が見て試着してみましょう。
A2: 保証書には通常、2、3年のメーカー保証期間があります。この期間内であれば、通常の使用や保管方法で故障、トラブルが生じた場合に、無償で修理してくれます。それとは別に、購入したショップ独自の保証がある場合もあります。
A3: 保証書にその「正規取扱店」で購入したという証拠が記載され、購入後の国内での正式サポートが保証されます。
正規品は購入後のメーカー保障が確実です。ロレックスの場合、正規品と並行輸入品も保証期間ばどちらも2年ですが、並行輸入品の国際保証書の日付は古い場合があり保証期間が短くなります。更に未記入の場合はメーカー保証は受けられません。
(Q5/A5 も参照してください)
保証期間後のアフターサービス内容も、ブランドによっては差が出ます。オーバーホール料金は、ロレックスやオメガは同等ですが、ブライトリングが半額、ゼニスが40%引きと正規品の優遇制度があります。
A4: 正規輸入代理店を経由するものは「正規品」、海外から直接仕入れるものが「並行輸入品」で、スイス本国の時計メーカーから見ればまったく同一のものです。
正規代理店で設定した日本価格ではなく、格安で購入することができます。
A5: 並行輸入店は、正規取扱店と異なり、メーカー保証に関して日本国内の正規輸入代理店の合意を得ていません。このため、ショップ独自の保証サービスで対応してくれます。
ただ、並行輸入品にも「国際保証書」が付くので、「販売店名」と「購入日付」が記入されていれば、正規品と同じように国内でメーカー保証を受けることもできます。ただし、並行輸入店が海外で買い付けた日付が入るので、メーカー保証期間が多少短くなります。日付が未記入だとメーカー保証は受けられませんが、購入時に記入してくれる並行輸入店もあります。
国際保証書は本物の証しですが、メーカー保証の開始時期(国際保証書の購入日付)が不明確であれば、保障期間の特定ができないので国内でのメーカー保証が受けられません。購入時には、保証書の記入有無を必ず確認しましょう。
(下の比較表も参照してください)
ロレックスの正規品と並行輸入品の違い
正規品 | 並行輸入品 | |
商品 | スイス製ロレックス 裏蓋に日本ロレックスのシール |
スイス製ロレックス |
価格 | 日本ロレックスが定めた正規価格 (定価) |
並行輸入店が独自に決めた競争価格 (格安) |
販売 | 正規代理店「日本ロレックス」が検品し、正規取扱店で販売 全国の百貨店、正規店を謳う時計店 |
海外の正規取扱店から買い付けた並行輸入店が販売 エバンス、モンデール、サテンドール、宝石市場、クオーク等 |
保証書 | 日本ロレックスが発効した日本語の国際保証書 (後日郵送) |
海外のロレックス発行の国際保証書 |
保証期間 | 国際保証書の発行から2年間 |
販売店の独自の保証期間(2年〜10年)と、 国際保証書の発行から2年間のメーカー保証(買い付けた日付が発行日。未記入の場合は無効) |
保証内容 アフターサービス |
保証期間内の故障の無料修理。 販売店や日本ロレックスで受け付け可能。 日本ロレックス、あるいは公認修理業者でオーバーホール、修理が行われる |
保証期間内の故障の無料修理。 販売店や日本ロレックスで受け付け可能。 (断る正規取扱店もあり) 販売店の修理部門、契約業者で、オーバーホール、修理が行われる。 (日本ロレックスに依頼する店もある) |
品揃え | 国内販売モデルのみ。 数量も限定的のため、数年待ちの品も多い。 |
豊富 |
A6: 日本に輸入代理店がない場合、国内でメーカーの正規の修理は受けられません。技術のある時計修理屋さんで修理やオーバーホールは可能かもしれませんが。
A7: アンティーク時計は、品質管理された新品と違いコンディションにはばらつきがあります。
時計を少しゆすってカタカタ異音がしないか、文字盤にヒビ割れがないか、リューズにガタツキ、固さがないか、針は12時に正しく重なるか、ケースにサビやヘコミがないか。店員さんにも話を伺いましょう。
A8: 革ベルト、金属ベルトのサイズは、ベルトが取り付けられている根元のラグの間の長さで分類されています。中の真のバネ棒の長さではありません。18mmから22mmぐらいが一般的です。
A1: 高温多湿、磁気、落下に注意です。テレビ、パソコンのディスプレイや携帯電話のそば等の磁気がある場所、直射日光の当たる場所、窓際などの高温多湿になる場所、落下の危険のある机の端などを避けます。
置き方は、いろいろ説があるようですが、縦でも横でも実際には物理的にまったく関係ありません。よって、風防やリューズをキズ付けないように文字盤を上にして置くのが正しいです。リューズを下にする横置きが一番厳禁です。
A2: 自動巻きの時計は日常の腕の動きで自然にゼンマイが巻き上がり、8時間程度でフルになります。フルの状態であれば、腕に着けていなくても40時間程度は動き続けることができます。ただし、デスクワークが多かったり、腕に着けている時間が短かった場合、十分に巻き上がらないので、時計を外して朝には止まっている可能性があります。
オイル切れや磁気帯びの可能性もありますので、オーバーホールが必要な場合もあります。
A3: 止まっている時計ならば、まずゼンマイを手で巻いた方が良いです。最初はゼンマイのトルクが十分ではないので、精度が安定せず、また日付の切り替えやクロノグラフの作動ができずに時計全体が止まる場合もあるからです。自動巻きだからといってブンブン振り回すのではなく、リューズでゼンマイを巻いてあげるのがベストです。
要は、無理やり振り回したり、不健康な朝飯抜きの状態で時計を動かすのは止めましょう。
A4: ゼンマイは、1日1回、同じ時間に最後まで巻いたほうが良いです(例えば、出勤、通学前など)。こうすることで時計の精度が安定しゼンマイも長持ちします。1日に何回も巻くとゼンマイの寿命を縮めます。
ゼンマイは、時計回りに回したら逆戻りさせるのを繰り返して巻き上げます。最後まで巻き上げると感触がギュッと重くなります。何回回したかを覚えておきましょう。戻しの時の空回りの音が快適で感触が良ければ健康です。
A5: 機械式時計の場合、毎日、常に動いている方がかえって潤滑油が適度になじんで、長持ちします。また、3ヶ月以上使わないと、潤滑油が凝固することもあります。
A6: 夜中の0時ちょうどに日付が変わらなくても機械の異常ではありません。前後10分ぐらいは機械の個体差があります。23時ぐらいから徐々に切り替わるムーブメントが多いです。
また、実はお昼の12時に日付が変わっていることがあります。時刻を12時間ずれて合わせたためです。この場合、12時間進めて日付を調整すればよいです。
上記以外であれば、故障の可能性があります。
A7: 夜9時から午前1時までの間は0時にカレンダーが切り替わるための「日付送り歯車」がカレンダーの円盤と噛み合っています。このため、日付調整のためにカレンダーの円盤だけ早送りすると、日付送り歯車、カレンダー円盤ともに噛み合わせの歯に負担がかかります。
A8: はがした方が良いです。新品の時計の場合、裏フタにケースを保護する透明のシール(ロレックスのホログラムのシール等)が貼ってありますが、実際に使い始めてから汗や汚れがケースとシールの隙間にたまり、そのまま何年も使い続けていると、ステンレスとはいえサビる可能性があります。
ステンレスは含有するクロムが空気中の酸素と結合して不動態皮膜を作ることで錆びにくい性質を持つからです。シールや油よごれにより錆びることがあります。
A9: 一日腕に着けていると、汗や皮脂、タバコの煙、排気ガスなどで、汚れています。
ケースはセーム革か柔らかい布でキレイに拭き落とします。ラグやベゼルなどの細かい部分は柔らかい毛先の歯ブラシか綿棒を使います。金属ブレスは、柔らかい布かウェット・ティッシュでブレスの表と裏をキレイに拭きます。
20気圧防水以上のモデルであれば、思い切ってぬるま湯につけて歯ブラシでキレイにすると思った以上にキレイになります。特に、海に行った後は、塩分が残っているとすぐにサビてしまいますので、ぬるま湯でこまめにキレイにします。
A10: 鏡面仕上げの金属面のキズは、ウィノール(中)、アモール(細)といった研磨剤を使ってセーム革で数分磨くことで落とすことができます。ワックス効果もあります。つや消し(ヘアライン仕上げ)のケースには決して使ってはいけません。
A11: 汗が染み込む革ベルトは時に毎日のケアが大事です。柔らかい布で汚れを拭い、汚れが激しい場合は革用のクレンジングオイルを使いましょう。その後、外側は専用の保護クリームを塗ります。肌にふれる内側はクリームは塗りません。
A12: 柔らかい布で磨くのは日々のケアです。ベゼルとガラスの縁は汚れがたまりやすいので、歯ブラシでキレイにします。
ガラス風防の場合、キズを落とすことはできませんが、プラスティック風防であれば、サンエーパールという研磨剤で磨くことでキズを落とすことができます。
A13: 高温のお風呂や温泉、低温のプールやシャワー等、急激な温度変化には精密で繊細な機械式時計には良くないです。特に、お風呂の高温は、潤滑油が流れてしまう可能性もあります。
A14: 潜れません。100m防水は100m深度の水圧に耐えられることを意味しますので、水中での腕の動きでは、実際の深さ以上の水圧が加わるのです。
A15: 水分が時計内部に浸入した場合、ゼンマイ切れが、最も多い故障原因です。
時刻合せや日付合せでリューズを引いている状態のまま忘れて、汗が進入したり、手を洗って水が浸入してしまう場合があります。また、オーバーホールしていないと、潤滑油が劣化してゼンマイが軋み、巻き上げ中に切れてしまう場合があります。
A16: 正しく調整されている時計であれば、日々の時間の誤差は、進むにせよ遅れるにせよ、一定です。よって、日によって30秒遅れたり、20秒進んだりとバラツキがある場合は要注意です。潤滑油切れや部品の磨耗が進んでいる可能性があります。リューズの操作が固いと感じるようになっても同様です。
A17: 落下、湿気、ホコリから大切な時計をガードするためにも保管ケースは必要です。
自動巻きモデルには、時刻合せや日付合わせをしなくてよいように、内部が回転して自動でゼンマイを巻いてくれるワインダーが便利です。ただし、ワインダーがなくても、最近の潤滑油は1、2ヶ月程度使わなくても硬化しないので、時計が劣化することはありません。
A1: 3〜4年おきが目安です。購入後は4年から5年目でオーバーホールに出すのをオススメします。以降、3年おきが良いと思います。あまり使っていないのであれば、4年おきでも良いでしょう。
頻繁にオーバーホールするのもかえって機械式時計にはよくないです。時間が遅れはじめた頃はオイル切れの兆候です。
A2: シンプルな3針時計であれば、3万円から5万円です。壊れた部品があれば交換部品代も追加でかかります。
アンティーク時計の場合、メーカー修理ではなく、時計修理の専門店であれば、2万円前後で引き受けてくれるところもあります。日本の時計師の技術は素晴らしいので安心しておまかせしましょう。
また、クロノグラフなどの複雑時計の場合、メーカー修理だと5万円以上が通常です。ノーブランドのバルジュー7750であれば3万円強で可能な場合もあります。
A3: オーバーホール、修理をお願いした場合、後日、見積り料金の連絡がきます。事前にいくらであれば連絡なしで修理実施する約束もできます。見積り料金が思った以上にかかる場合はキャンセルすることもできます。この場合、見積り料金だけは必要な場合があります。
A4: ブランドのレプリカ(偽物)時計や、個人で改造したカスタム時計は、通常、修理やオーバーホールを引き受けてくれません。
機械式時計の心臓部のテンプ(振り子時計の振り子に相当する)が、1時間あるいは1秒間に何回振動するかを表します。最近の時計のほとんどは毎時28,800振動(bph:beats
per hour)、8振動/秒です。アンティークは18,000振動が多いです。
低振動は精度調整に技術が必要ですが寿命が長いと言われています。
時計メーカーが自社のムーブメントのナンバー、型式を示す場合に使われます。「ムーブメントはレマニア社のキャリバー2210(数字とアルファベット)」のように使われます。
ストップウォッチ機能を持つ時計です。カレンダー表示でダイヤルがたくさんある時計はクロノグラフではありません。->詳細
1個1個のムーブメントに認定される高精度の証明です。公的機関であるスイス公認クロノメーター協会(C.O.S.C.)が厳しい精度検査を実施して認定されます。各メーカーは自社で調整したムーブメントを検定に出し、その中の一部が検定にパスします。->詳細
クロノメーター証明は、時計メーカーにとっては第三者に品質保証される付加価値のひとつです。高級モデルには、コストと時間をかけて調整し、検定をパスしたクロノメーター認定のムーブメントを搭載することが多いです。
SSとは一般的な時計ケース素材のステンレススティールの略です。WGはホワイトゴールド、RGはローズゴールド、YGはイエローゴールドの18K製。GPとはgold platedの略で金メッキのこと。GFとはgold filledの略で金をケースに被せたもので金メッキよりも層が厚く18Kケース同様の色合いがあります。
シリアルナンバーは1個1個の時計の固有の製造番号のこと。戸籍のようなもで、製造時期や製造元等を鑑定するのに役立ちます。リファレンスナンバーはそのメーカーのあるモデルの識別番号です。