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機械式クロノグラフとは?

クロノグラフの仕組み(1)

ストップウォッチ機能を持つ時計

典型的なクロノグラフの外観。9時の位置の針は時計の秒針。

クロノグラフは、ストップウォッチ機能を持つ時計。

カレンダー表示の小さいダイヤルがあっても、クロノグラフ(chrono-graph:時-計る)ではありません。

真ん中の細長い針がストップウォッチの針です。9時の位置の小さいダイヤルは秒針、3時のダイヤルが分(minutes)、6時のダイヤルが時間(hours)を測定します。

上のボタンでストップウォッチのスタート、ストップ、下のボタンで針をリセットします。

【スタート】 【計測中】 【ストップ】 【リセット(帰零)】

クロノグラフの基本パーツ

典型的なクロノグラフの外観。
9時の位置の針は時計の秒針。



バルジュー72。
細かい曲線パーツが重なり合うムーブメント。

裏蓋を開けると、小さい歯車や細かいパーツがびっしり詰まっています。
ここでは、傑作ムーブメント「バルジュー23」をベースに、各部の名前とその働きについて紹介します。

制御系

コラムホイール(ピラーホイール)
ストップウォッチを制御する最も重要なパーツ。二層式の特殊な歯車。
オペレーティングレバー
スタート、ストップのボタン操作で、コラムホイールを回転させるアーム。
ブレーキレバー
ストップ時にクロノグラフホイールを固定するためのブレーキアーム。
リセットレバー
リセットボタン操作で動作し、リセットハンマーを起動させる。
リセットハンマー
クロノグラフホイールとミニッツレコーディングホイールをゼロの位置にリセットする。
ハートカム
リセットハンマーに叩かれることで、歯車をゼロの位置に戻すためのカム。
コラムホイールとは

ピラーホイールともいいます。ストップウォッチのスタートストップをコントロールする特別な歯車です。上段は7〜9本の柱(ピラー)、下段はその倍の数のギザギザの歯の二階建て構造です。
プッシュボタンを押すと、オペレーティングレバーのアームが動いて先端の鉤爪がピラーホイールの下段の歯を引っ掛けて回転させます。上段のピラーにはクロノグラフの主要パーツが噛み合っており、ピラーホイールが回転することで、クロノグラフが作動するのです。

伝達系

ドライビングホイール(クロノグラフ出車)
時計の秒針の真下に付けられている歯車。よって常に回転しています。ストップウォッチ機構はここから動力を得ます。
クロノグラフホイール(秒クロノグラフ車)
時計の中心に位置する秒を測るための歯車。クロノグラフランナーともいいます。
ミニッツレコーディングホイール(分クロノグラフ車)
分を測るための歯車。
トランスミッションホイール(伝え車)とカップリングクラッチ
スタート時にトランスミッションホイールをスライドさせ、クロノグラフ機構に動力を伝達する。ストップ時に外れる。この伝達方式をキャリングアーム式という。
ミニッツレコーディング・インターミディエイトホイール(中間車)
とスライディングギア
クロノグラフホイールとミニッツレコーディングホイールを仲介。リセット時にはスライドして動力の伝達を外す。

クロノグラフ作動のメカニズム

電気やモーターを使わずに、どのようにストップウォッチの機能を実現しているのでしょうか。クロノグラフのメカニズム」で詳しく図解してみます。

参考:Esemble-O-Graf Vol.7 Valjoux 23, c.1951, Western Pennsylvania Horological Institute, PA