Ref.809。ゴールドフィールドケース。ベルトとフォールディングバックルはBELTZ。 |
ベゼル回転式の計算尺。12時下には翼を広げた形のAOPAのマーク。蛍光塗料が塗布された針とインデックス。 |
直径31mm/手巻き/17石/毎時18,000振動 |
1950年代のブライトリングのナビタイマーです。
ナビタイマーは航空機用の回転計算尺を世界で初めて装備したパイロットウォッチの先駆けともいえるモデルです。1952年の発表以来、現在まで生産され続けているロングセラーで、飛行機のオーナーとパイロットの国際的な協会AOPA(Aircraft Owners and Pilots Association)や各国の空軍の公式時計としても認定された歴史あるクロノグラフです。
黒文字盤に白いインダイヤルは視認性に優れ、目盛が見やすいドーム型の風防、手袋をしていても回すことができる大きめのリューズなど機能的で精悍なデザイン。文字盤の周囲の精緻な計算目盛と回転ベゼルが与える印象は、腕時計というよりも計測機器のようです。12時の下にはAOPAのマーク。この時計はおそらく1960年代の2ndモデルだと思われます。
ムーブメントはヴィーナス社のキャリバー178。今は存在しないこの会社は、バルジュー社と並ぶ最も有名なクロノグラフムーブの製造メーカーでした。原型の175は1942年にブライトリングのクロノマットに初めて搭載されました。
7枚ピラーのホイール |
特徴的なブリッジ |
30分積算計と12時間積算計を装備した典型的な3レジスタークロノグラフで、コストのかかるピラーホイールを使用しています。中心に位置する羽をひろげた鳥のようなデザインのブリッジが独特です。これはクロノグラフ針の歯車(クロノグラフランナー)と30分積算計の歯車(ミニッツレコーディングホイール)を支えるものです。また、左上部の「く」の字形のカップリングクラッチも特徴的だと思います。パーツはすべて面取りされ非常に綺麗な仕上げです。
時計のケースの状態はあまりよくないのですが、中身のムーブメントの状態はとてもすばらしいです。
モーリス・ラクロアやジャッケ・エトワール等、デッドストックムーブを搭載する限定モデルを発売するメーカーもあり、今でもヴィーナス175/178系はその機能、作り、デザインから人気があります。
あまり実生活では役立たないですが、こちらで追々説明します。