次は時計の裏側です。こちらは表輪列というぐらいですので、分解する上では表になろうかと思います。必ず、ゼンマイが完全にほどけている状態で作業します。不安な場合は一旦ココに戻りましょう。
ムーブメントの顔です。 |
文字盤側を裏にして機械台に設置します。
テンプは機械式時計の心臓部です。非常に繊細なパーツですので慎重に取り外します。取り外すときにはテンプやヒゲが歯車や地板に触れないように気をつけます。
根元のネジを外します。 |
すきまにドライバーを差し込みパーツをゆるめる。 |
テンプが引っかからないようにスライドさせながら外す |
取り外したテンプはヒゲゼンマイにぶらさがった状態ですので、テンプ用の穴の開いた台にすぐに置きます。そのような台がない場合は、下から指で優しく押えながらひっくり返し、この状態でパーツトレーに収めるとよいかと思います。
※番外編「調速機(テンプ)の分解」も参照。 |
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ヒゲゼンマイにぶらさがっている状態。 |
引っくり返した状態。 |
アンクル受の2つのネジをはずします。 |
名前は船の錨(アンカー)の形に由来。 |
続いて脱進機を構成するパーツのアンクルを外します。
丸穴車を固定しているネジ(赤矢印)が逆回しであるところは他の時計と同様。
また、U字型のコハゼバネは、このムーブメント唯一の紛失しやすいパーツです。飛ぶと見つけることはできないでしょう。紛失すると時計は動きません。要注意です。コハゼが角穴車ではなく丸穴車を止めているところは特徴的です。
角穴車の固定ネジを外すときは、角穴車が回らないように指で押さえます。
丸穴車の逆ネジを外します。 |
大事なコハゼバネ |
U字バネ、こはぜ、丸穴車、角穴車 |
続いて、一番受けを外し、ゼンマイの入った香箱を外します。香箱の四角い真をピンセットでつまみ、斜めにずらすように外します。
一番受けの固定ネジ3箇所 |
一番受けを外す。 |
香箱を外す |
残るは輪列のみ。二番受けの2箇所の固定ネジ。 |
あらわになる輪列。 |
二番受けを外す時は、ゆっくり慎重に行います。たくさんの歯車の真の先端(ホゾ)が、この受けに収まっているからです。
輪列は、香箱が一番車、一番車に噛み合う二番車(写真の右上)、三番車、四番車、ガンギ車(写真の一番左)までのことをいいます。
繰り返しになりますが、歯車の歯はやわらかいので、ピンセットでつまむときは、歯を傷つけないように注意します。
まずは、真ん中の四番車を外します。秒針が付くため真が非常に長いので、まっすぐ上に抜きます。 続いて、三番車、二番車、ガンギ車を外します。ピンセットで、歯にさわらないように、腕や硬い金属のカナの部分をつまみます。
真ん中の四番車 |
三番車 |
二番車 |
ガンギ車 |
すべてのパーツが取り外された地板(じいた) |
ネジなど混ざらないようにします。 |
分解したパーツは、例によって分解する都度トレーに仕分けします。
以上で、ひととおりの分解が完了です。