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歯車の輪列

時計のしくみ(2)

基本の構造

難しそうな機械式ムーブメントの構造は以外と単純です。ゼンマイのほどける力が歯車に伝わって針が動くのですが、主な構成部品は次のようなものです。


Shadeで作成した3Dイメージ

香箱車(こうばこぐるま)
時計の動力源のゼンマイが入っています。ゼンマイがほどけることで回転し、動力を歯車に伝えます。
二番車
分針が付きます。時計の中心にあり、1時間で1回転します。
三番車
仲介役の歯車です。
四番車
秒針が付きます。
ガンギ車とアンクル
脱進機を構成。テンプに振動するために力を与え続けるとともに、テンプからの規則正しい振動で輪列を制御します。
テンプとヒゲゼンマイ
調速機を構成。等時性のあるヒゲゼンマイの伸縮でテンプが規則正しい振動を繰り返します。

歯車の伝達

巻き上げられたゼンマイの動力は香箱車を回転させ、二番車、三番車、四番車に伝わります。隣の歯車の中心の「カナ」と呼ぶ歯数の少ない歯車と噛み合うことで順に回転数を上げていき、スピードの違う分や秒の針を回転させることができます。

時計によって差がありますが、例えばそれぞれの歯数が下の表のような場合、二番車が1回転する間に四番車は60回転し、最後に到達するガンギ車は600回転することになります。

< 歯数と回転数のサンプル >

種類 香箱車
(ゼンマイ)
二番車
(分針)
三番車 四番車
(秒針)
ガンギ車
カナの歯数 なし 12 10 10 8
歯車の歯数 72 80 75 80 15
回転数 1/6 1 8 60 600

ここで、ゼンマイと歯車だけではあっという間にほどけてしまいます。 二番車は分針が付くので1時間に1回転する必要があり、四番車は秒針が付くので1分間に1回転する必要があります。 そこで、この回転のスピードをコントロールする「脱進機」「調速機」が必要になります。