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スイス腕時計ブランドの業界図

90年代のグループ再編がひと段落し、ETAムーブメントの供給縮小が発表された今、各ブランドの生き残りをかけた新開発、再々編が進んでいます。

腕時計ブランド業界図

スウォッチ、リシュモン、LVMH、ロレックス、WPHH、AHCI、ブルガリ、オメガ、IWC

Last update : 2011/3/8

参考)旧業界図

 : マニュファクチュール (時計製造を自社のみで一貫生産できる時計メーカー)
 : エタブリスール (パーツを仕入れ、加工、調整し時計を完成させる一般メーカー)
 : ムーブメント専門メーカー(自社あるいはエボーシェからムーブメントを製造するメーカー)

クチュールブランドと時計

デザイナーズブランドや宝飾ブランドも本格的に機械式に取り組みつつあります。

カルティエ(仏)
世界初の紳士腕時計サントスを世に送り出し、腕時計には100年の歴史を誇る。多くの腕時計マニュファクチュールを束ねる、リシュモンの中心的存在であることはあまり知られていない。ラ・ジュー・ペレ製ムーブメントを積極的に採用。
ブルガリ(伊)
いち早く2000年にジェラルド・ジェンタとダニエル・ロートを傘下に治め、高い技術とデザイン力を融合したブルガリグループを組織。ジラール・ペルゴとも提携。
エルメス(仏)
フルリエのパルミジャーニの工房ヴォーシェ製のムーブメントを採用。ヴォーシェに資本参加し、ETAエボーシェから脱却した高級腕時計作りを目指す。
シャネル(仏)
クロノメーター認定の取得数では既に世界第7位。2008年には独立系の老舗オーデマ・ピゲと提携し、門外不出の基幹キャリバーの提供を受ける。
ルイ・ヴィトン、ディオール(仏)
同じLVMHグループのゼニスやタグ・ホイヤーの協力で、本格的な時計工房を設立。ゼニスのエル・プリメロを軸に本格的な腕時計製造を続ける。
ティファニー(米)
2007年、ETAを抱えるスウォッチグループとスイスに時計会社を設立、長期的にティファニーの腕時計を製造することを表明。
ラルフ・ローレン(米)
2007年にリシュモングループと共同で時計宝飾の会社を設立。高級時計・宝飾の分野に新たに乗り出す。

(2008/5/10)

2010年問題

2005年、世界最大のムーブメントメーカーETAは、2010年までにエボーシュ(汎用ムーブメント)の供給を段階的に縮小する方針を発表しました。出荷量を2008年に85%、2009年に50%、2010年に25%にまで削減する予定です。今後、高級メゾンのマニュファクチュール化が進むことが予想されます。事実、パネライ、独立系のノモス、ユニバーサルジュネーブ等、続々と自社設計ムーブメントを発表、2007年には、大手メゾン代表格のオメガがコアークシャルの新世代ムーブメント(ETAが製造)を発表、開発競争が激化しています。

これは時計内部の特殊部品にもいえます。ロレックスやパテックなどの大手はシリコン製ガンギ車を開発。現在、ほとんどのメゾンがスウォッチグループのニヴァロックス製のヒゲゼンマイを採用していますが、自グループでの開発や特殊ファクトリーからの供給も進むことでしょう。

(2008/1/23)

参考)スイス時計業界を影で支える時計工房


フルリエの3マニュファクチュール

1993年、宝飾ブランド ショパールは、独立時計師ミシェル・パルミジャーニ氏とともに自社ムーブメントを開発、96年に傑作L.U.C.1.96を発表しました。一方、いくつもの部品メーカーを傘下に収め高級ブランドへと成長したパルミジャーニ・フルリエは、ヒゲゼンマイを自社製造できる類稀な技術力を持っています。

2004年、同じフルリエに工房をかまえるボヴェとともに、クロノメーターやジュネーブシールに匹敵する新しい時計の品質基準カリテ・フルリエを立ち上げました。ボヴェは、STT(旧プログレスウォッチ)を買収し、マニュファクチュール化を推し進めています。

同じビジョンを持ち結束している独立系ブランド三社は、他グループと異なり資本関係はありません。

(2007/8/28)

再編の注目はムーブメント

ムーブメントを自社製造するブランドはひと握りです。

有名なブライトリングやオメガも、ムーブメントはETA社のエボーシェを自社でチューンアップしています。高級メゾンもレマニアやルクルト等のムーブメントを採用します。

高い技術を持つマニュファクチュールやムーブメントメーカーの取り込みが、ブランドの腕時計バリエーションに大きなメリットをもたらすのです。グループ再編後、オメガのスピードマスターにフレデリックピゲ製のスプリットセコンドクロノグラフ、ゼニスのエルプリメロを搭載したタグホイヤーのモンツァが発売されのもその一例です。

(2005/3/2)

巨大グループ

腕時計業界には、大きな時計ブランドのグループがあります。

スウォッチグループ(SMH:スイス時計マイクロエレクトロニック総連合)
オメガ等の有名ブランドと世界一のムーブメントメーカーETAが中心。80年代に名門ブランパンを復活させ、1999年にはブレゲとレマニアを吸収。ETA、フレデリックピゲ、レマニアは他グループにもエボーシュを供給し、ゼンマイや文字盤等の多数の部品メーカーも有する巨大グループ。
リシュモングループ(旧ヴァンドームグループ)
カルティエを中心とする高級時計・宝飾グループ。いくつものマニュファクチュールを抱える。1991年からカルティエ含む3社がバーゼルフェアを離れ、SIHH(ジュネーブサロン)を開催するようになり、年々時計メーカーを吸収。2000年、IWC等のドイツのLMHグループは、親会社マンネスマンに対するイギリスボーダフォンによる買収事件を機にリシュモン傘下に。
LVMHグループ(ルイヴィトン・モエヘネシー)
ルイ・ヴィトンを中心とする高級ブランドのグループ。時計・宝飾事業を拡大中。ゼニスのエル・プリメロを搭載する最終兵器ルイ・ヴィトンのクロノグラフが登場。2003年モバードグループにエベルを売却。
WPHHグループ(World Presentation of Haute Horlogerie)
フランク・ミュラーが中心。時計工房と学校を兼ねるウォッチランドで、毎年バーゼルフェアに合わせて新作を発表する。なお、フランクミュラーは以前はAHCIのメンバー。

ちなみに、スイス三大時計ブランドといえば、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、バシュロン・コンスタンタンです。

(2004/8/28)

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